5月10日、中国の胡錦涛(こきんとう)主席が来県し、唐招提寺にある鑑真和上(がんじんわじょう)の御廟(ごびょう)に参拝した。いま主席は国内外に多くの問題をかかえている。
にもかかわらず、忙中鑑真和上入寂(にゅうじゃく)の時に合わすかのように参拝したので感激している。御廟で手を合わせて何を念じたのか。
ときは聖武天皇の時代、佛教界はたいへんに乱れていた。天皇は戒律僧を招聘(しょうへい)するため遣唐使派遣する。揚州大明寺の高僧、鑑真和上は蒼海の藻屑となっていく多くの僧、経典を何度もまのあたりにする。しかし戒法を日本に伝える志は高い。井上靖著「天平の甍」に詳述されている。
閑話休題。若葉香る唐招提寺に足を踏み入れると、鑑真和上に受戒する夥しい僧侶の読経が耳をつく気分。その音声はいま日中間にある問題をかき消すかのようだ。これからの日中関係は唐の一高僧の偉大で超越した心を見習って交流をはかれ。瑣末なことにとらわれると長い日中交流で培われた宝も失う。胡主席もそれを念じて参拝したのではないか。
土龍